今回は、大塚商会の分析を見てみましょう。東証1部の大塚商会は、日本のOA機器専門商社です。近年、OA機器専門の商社からソリューション事業へ領域を拡大するとともに、オフィスサプライのカタログ通販「たのめーる」を積極的に展開しています。社長の大塚 裕司(おおつか ゆうじ)氏は1954年東京生まれです。横浜銀行、リコー勤務を経て1981年に大塚商会に入社し業務ルールの見直しや情報システムの強化・再構築などに取り組み、2001年に代表取締役社長に就任されました。ライバル会社の日本ユニシスと比較してみましょう。
大塚商会の企業力総合評価は順調に成長しています。成長を支えている下位の指標は営業効率です。「儲かっているか」を示す企業の根幹の指標の営業効率が上がり、流動性が上がり、安全性が改善していっているのですから素晴らしいです。
流動性は短期資金状況を示す指標、儲かってくるとお金が溜まり改善します。安全性は長期の資金状況を示す指標で、利益が上がると自己資本比率が高まり改善します。
その意味で、大塚商会は間違いなく、着実に成長している会社と見られるわけです。
日本ユニシスは2006年、2007年と企業力を下げています。何かあったのでしょうか。
「儲かっているか」を示す企業の根幹の指標の営業効率が赤青ゼロ領域から改善するや否や2006年逆戻りし、再度改善しています。
大塚商会と日本ユニシスの営業効率各指標をみてみましょう。2005年6月、三井物産から日本ユニシスに転じた籾井勝人社長は年率10%超で売上高を増加させ2010年度に売上高5000億円、営業利益300億円という目標を上げました。
2007年のネットマークス買収や2008年にインドのインフォシス・テクノロジーズとの提携をしました。しかし、3000億円の壁は容易に超えることはできませんでした。
また、赤字案件もあり、米ユニシスとの商標永代使用権の獲得が重なり、利益率を犠牲にしました。
2008年11月、籾井勝人社長が長期目標として挙げたのは「営業利益300億円から350億円、営業利益率10%」と売上より利益率重視の戦略転換に踏み切りました。
大塚商会の売上高増加率と経常利益増加率の不等式をみてみましょう。
常に売上高より経常利益の増加率が上回っています。簡単な指標の比較ですが、この指標の比較は社長の経営方針や、企業力総合評価の動向を良く当てます。大塚裕司社長は、利益が残るように売上を上げる経営をされていることがわかります。「利益なき繁忙」は為にならないことをよく実践され、成果を得ていると言えます。
まとめ
大塚商会は2001年から確実な成長を遂げる大塚社長の経営です。これに対し、3年ごとに三井物産から社長を送り込まれ経営方針が変わる日本ユニシス。2005年就任の籾井勝人社長の戦略転換の動向から目が離せません。
SPLENDID21NEWS第38号【2009年1月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。